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「巨人伝」
津本 陽著
文藝春秋

一時期、とんでもない頭脳構造を持った人間に興味を覚えて、すごいといわれた世界の先達を書物で追っかけたことがある。
 どうして、そんなことに興味を抱いたかというと、意外と単純な発想からだ。長期投資で必須の先読み作業を進めていると、最後は「地頭の良さ」にたどりつく。がむしゃらな暗記力とか、与えられた問題の解決能力ではない。直観に基づく頭脳のキレだけでもない。
 古今東西さまざまな事象を引っ張り出してきて、それらを自由自在に組み合わせては、あり得る可能性を100通り300通りといった具合に組み立てるのだ。その作業を、おもしろがって延々と進めるのが長期投資の先読みである。 

 ひとつやふたつの可能性を追いまわすだけだったら、そう難しいことはない。それが何十通りとかを同時に組み合わせるとなると、頭が爆発しそうになる。それを平気にこなせる頭脳の弾力性には畏敬の念すら抱きたくなる。
 img_chairman.jpg そんな興味の赴くままに乱読していて出会ったのが、南方熊楠というとんでもない先達である。本書を手に取って読みはじめたら、「よくもまあ、これだけ頭脳を使い倒したものよ」と驚くやら、あきれるやらの連続。
 あの当時、日本の片隅にこんなにもすごい人がいたんだと、地頭の勉強そっちのけで感心しきりだった。

 

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