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真昼のワンマン・オフィス
城山 三郎著
新潮社

 資源のない日本は加工貿易で生きていくしかない。そういわれて、戦後復活から高度成長期まで日本は工業製品の輸出に全力を挙げた。その凄まじさは、世界中からエコノミックアニマルと揶揄された。
 エコノミックアニマルの尖兵が、世界の片隅にまで進出して行った日本企業の海外駐在員であった。商社はじめメーカーの営業マンたちは、日本製品を売り込もうと地球上どんな僻地にでも出向いていった。
 そんな企業戦士の姿を小説化したのが本書である。日本人はまさに一人っきり、それで現地オフィスを切りまわす。
 

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読んでいて、「なんだ、俺も同じことやっているじゃないか」と思わず笑ってしまった。1年ほど茅場町の隣、新川で投資コンサルタントを主業務とする澤上オフィスを開いていた。その間に、顧客のひとつであったスイスのピクテ銀行が本格的に日本進出を考えはじめた。
 そこで、1979年の8月に丸の内で東京駐在員事務所を開くことになった。日本事業の全権をもっていたものの、まさにワンマンオフィスである。
 当初2年ほどは本当に一人っきり。3年目に秘書が来てくれてピクテ東京オフィスは二人となったが、10年間で1,000億円を超すビジネスを創り上げた。
 よくみてみれば、世界中いつでもどこでも企業のビジネス拡大の戦いは繰り広げられている。スタートはいつも小さなもの。それが徐々に成功を積み重ねて大きくなっていったところが、グローバル企業となっていく。

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