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「戦争と平和」
トルストイ 著
米川 正夫 訳
岩波文庫

ずっと長期投資を磨き込んでいくと、世の一般的な投資に多いドタバタ感が遠く離れていく。ドタバタ感? そう、経済や社会のあらゆる出来事がマーケットを揺らす。そういったマーケット変動に、多くの投資家が右往左往しているではないか。

時々刻々と変動するマーケットに振りまわされながらも、機関投資家の運用もデイトレーダーも価格変動を追いかけては利ザヤを稼ごうとする。変転きわまりないマーケットでの価格変動を相手に値ザヤ稼ぎをしようなんて、それこそ至難の技である。

長期投資は根本から違う。いつの時代もいつの世も、人々の生活はずっと続く。その生活を支えようとするビジネス活動は一時として途絶えることはない。そういった生活者にとって大事な企業を応援しようとするのが長期投資である。
応援したい企業の株がマーケットで大きく売られているなら、われわれが新たな株主となろう。その企業経営を応援するメッセージを発信するのだ。ボロボロに売られているところを買いにいくから、もうそれで十分に長期投資の買い仕込みができてしまう。

長期投資のベースは、あくまでも人々の生活である。「あれ、それってトルストイの『戦争と平和』で描写されている農民の姿ではないか」と、ふと思い至って読み直したのが38才の頃だった。華やかな貴族生活の浮沈の横で、したたかに生き残っていく農民の強さこそ、長期投資のベースだと認識してから運用が楽になった。

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