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「自省録」の教え
マーク・フォステイター 著
池田 雅之 訳
草思社文庫

いつの頃からか、仏教でいわれる少欲知足を強く意識するようになった。あれもこれもといった欲に走らず、これだけあれば十分に満足だという気持ちで生きていく。すると、毎日の生活がずいぶんと軽やかになる。

また、足るを知る意識を投資にあてはめると、儲けよう儲けようのギラギラ感が抜けていく。できるだけ安値を狙って買おう、できるだけ高値まで引っ張って儲け幅を大きくしてやりましょうといった欲は顔を出さなくなる。そのおかげで、安く買っては高く売る投資のリズムが、すばらしく良くなっていく。

ふと考えた。仏教の少欲知足にあたるものが欧米にはないのだろうかと。その観点で、いろいろな書物を勉強していくうちに、ローマ五賢帝の一人、マルクス・アウレリウス帝の「自省録」にぶつかった。マルクス・アウレリウス帝は、ギリシア哲学の流れを汲んで、いかに徳高く生きていくかを心懸けた。それが、心の平安と安らぎをつかむ鍵であり、美しく生きるにもつながっていくとある。

そんなきれいごと、「儲けるか、損するか」で切った張ったの投資の世界では通用しない?一般的にはそう思われるだろうが、長期投資には意外とピッタリはまるのだ。すなわち、より良い世の中をつくっていくのが長期投資であって、その方向で頑張っている企業をひたすら応援する。応援しようとするから、投資の基本である安く買って高く売る行動ができてしまう。そして、投資リターンは後からついてくる。

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