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幕末史
半藤 一利 著
新潮社

長期投資で大事なのは、物事をいろいろな角度から観察し、多面的に考える習慣をつけることである。ともすると、われわれは固定観念や偏った見方で、一方的な判断をしがちである。よく最初から色眼鏡でみようとする人がいるが、あの愚をやらかしてしまう。
本書の著者は、以前から薩長主体の明治維新に独自の見解を唱えていることで有名。歴史は勝者の都合の良い方向で書き記されているといわれるが、その意味でも明治維新を薩長の下級武士による暴力革命と断じている本書は一読に値しよう。
歴史に「たられば」はないが、ほんのちょっとした歯車の回転で、その後の歴史が大きく塗り変わった可能性は否定できない。幕末で一橋慶喜が断固たる行動を取っていたら、その後はどうなっていただろうとか、あれこれ推測するのも長期投資で大事なイマジネーション力を養ってくれる。
そのイマジネーション力でもって、過去の歴史を踏まえて出来上がっている現状に対し、どのような将来を築いていくかを構想しよう。それが、長期投資の行動につながっていく。
たとえば、日本は明治維新で廃藩置県を断行して、強力な中央集権国家を築いてきた。その結果として、東京への一極集中が極限に達しようとしている。地方自治や地方経済の活性化がずっと叫ばれているが、地方からの人口流出や過疎化はますます強まっている。
さて、長期投資家ならどんな行動ができるのか?

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