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項羽と劉邦
司馬 遼太郎 著
新潮社

昔から歴史そのもの、そして歴史小説という分野は大好きで、ずいぶん多くの本を読み漁った。その中で、断トツに多いのが司馬遼太郎の作品である。
これまで片っ端から読んできた司馬作品だが、どれもよく世に知られていて、「オレの本棚」でなかなか紹介できないできた。その典型が、「項羽と劉邦」であり「竜馬がゆく」である。
もともと長期投資では、歴史に学ぶところが多い。とりわけ大河小説と呼ばれるものは、長期投資の発想や思考ですごく参考になる。
よく投資の勉強をするには、なにからはじめたらいいのかと尋ねられる。そんな質問に対しては、投資の難しい勉強などしなくていい。それよりも人間社会をじっくり観察し、あれこれ思考をめぐらせる方がよほど賢い。それには、大河小説といわれる作品を読んでおくといいよと、いつもいっている。
もっとも、長期投資から離れて小説としても、「項羽と劉邦」と「竜馬がゆく」は飛び切りおもしろい。なかでも、項羽と劉邦という両雄にしのぎを削らせた歴史の配材って、なにこれと絶句してしまう。まさに、事実は小説よりも奇なりと感心するしかない。
若くして文武に長けた偉丈夫の項羽、どうにもならないならず者の40男の劉邦。自分はなにもできないが、多くの部下に支えられた劉邦が最後の最後で勝ち残って漢王朝の祖となる。歴史の皮肉というか、人間社会のあやというか、おもしろいものですね。

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