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日本列島回復論
井上 岳一 著
新潮選書

熊本の長崎書店に立ち寄ると、あっという間に読みたい本が5~6冊は見つかる。なんとも不思議だが、それだけ店主の長崎さんが良書への想いや愛情の厚い書店経営を目指しているからだろう。
長期投資には、常にものごとの原点に戻って考え、そこから将来の可能性を組み立てる作業が欠かせない。決して、表層的な現象に踊って、その延長線上であれこれ考えてはならない。
いま現在なら、新型コロナウイルス問題で世界中の株価が記録的な棒下げを繰り返している。株価暴落という現象に大慌てとなって、多くの投資家は右往左往するばかり。
一方、われわれ長期投資家からすると、たしかに株価は大きく下がっているが、人々の毎日の生活になんの関りがあるのかだ。経済なんて人々の生活とそれを支える企業活動とが合わさったものにすぎない。現に株価暴落を大騒ぎしている人たちだって飲んだり食べたりしている。つまり毎日の生活は相変らず続いているのだ。
ということは、これはと思う企業の株価が大きく下げているのだから、ここで買っておかない理由はない。その上で、状況が良くなって株価が戻ってくるまで3年でも5年でも待てばいい。そう考えて行動できる。
ものごとの原点となれば、大自然の摂理からはじまって、人々の生活の拠って立つべき大地や社会といったものまで常日頃から広く深く学んでおきたい。そんな観点で本書を手に取ったが、すいぶん読みごたえがあった。

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