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先日、街を観察していたらインバウンド観光客の皆さんが天ぷらを堪能されているご様子。天ぷらの美味しさの思い出を自国でぜひ口コミしていただきたいものです。どうせなら面白い挿話とともに、「さすがTENPURA !」と記憶に残していただけないかと思います。

実は、天ぷら技術は世界の食品ロス削減や食料安全保障のカギになる可能性があるのです。天ぷら技術の凄みは、計算され尽くされた芸術である点です。衣を介して表面の水分を蒸発→うま味の閉じ込め→中身は半焼け・蒸焼き状態→表面かりっと、中身はしっとり、うま味は濃縮→温度と揚げ時間の絶妙な調整→完璧な水分調整のグラデーション。見方を変えると、油で揚げながら生鮮品の水分を抜き取る乾燥技術でもあります。

発想を飛ばすと、新鮮な食品廃棄物を蓋つきのお釜の中で天ぷら→お釜の上部分の空気を引抜き→気圧の低い状態→ 100℃程度でどんどん水分乾燥→高温殺菌され、うま味が詰まり、乾燥して日持ちする状態→家畜のエサへ。美味しくてカロリーたっぷりで家畜の肥育に適する飼料としてリサイクルすることができます。

各国が食料安全保障で食べ物を自国内でぐるぐる回す時代が来ています。天ぷら技術が注目されるかもしれません。

【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】

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