『蒙古来たる』

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「蒙古来たる」
海音寺潮五郎著
文春文庫

 長期投資は、より良い世の中を作っていく方向で、お金をまわしてやることである。一般庶民というか生活者が、自分たちの意思と判断で、自分たちのお金を投入していくことで経済も社会も先導できる。
 国に頼ってとか政治にべったりという他力本願ではない。あくまでも自助自立の精神で良い世の中づくりをやっていくのだ。
 そう言っている反面、政治家らしい政治家には強い憧れと、どこかで登場してくれないかと願望を抱くのも事実。日本の歴史においても、平清盛や織田信長の先見性と時代を超えた世界観、大久保利通や児玉源太郎の大局的な政治判断能力と果断なる実行力などが挙げられよう。
 そういった一人に北条時宗もいて、蒙古襲来という国難に一歩も引かず立ち向かった。キューバ危機で核戦争も辞さずの覚悟で、ソ連を退けた若きケネディ大統領に通じるものがある。


 若き執権、北条時宗のことをもっと知りたくて、いろいろな書物を読み漁った。そこで出会ったのが本書である。
 時宗の果断なる政治決断の一端でも学べるかもと読み始めたが、まったく違った面白みで一気に読み終えた。
 なにが面白かったかというと、鎌倉時代の庶民の生活が随所に登場し、まるでいまそこに居るかのように生き生きと描写されているところだ。いろいろな時代の庶民の生活を知ることも、長期投資の先読みに示唆してくれるところ大である。

 

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経済は人々の生活と、それを支える企業活動が集ったものであり、長期投資もその中にある。マーケットがどう変動しようと、人々の毎日の生活は相変わらず続いている。長期投資も、そこに焦点をあてるだけでいいじゃないか。それで、ふっ切れた。暴落相場をニコニコ顔で買えるようになった。そこからだ、大河小説といわれる大作を次から次へと読み漁っていったのは。