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かつて水処理企業に所属していた頃、30トン規模の実証プラントで現場監督をしていました。ビーカーレベルの研究とプラントの実証研究の違いを痛感したのは、部品や装置の位置決めや据付技術の重要さでした。ミリ単位での位置決めの力量がいかに全体プラントの性能に影響するのか、まさに「真実は細部に宿る」という経験でした。

2017年頃から、工場の様々なデジタルデータを収集して、つながったデータを解析して技術伝承や生産性の向上に活用する“ 工場自動化” の動きが進んでいます。そして最近では、多品種変量生産を安定稼働する“ 次世代工場” の開発に進化しています。製造業の工場では、多数・多品種の仕掛部品がストックヤード、搬送装置、製造装置などさまざまな場所に存在し、これらの適切な位置決めには熟練技能者による高度な段取りが必要とされ日本の現場の強みとなっています。

医療、自動車、航空機などの基幹部品では10マイクロメートル以下の加工精度が求められるため、段取り工程でもそれと同等以上の高精度な位置決めが求められます。これを実現するために、3DS(Dimensionalshape using Shadow) マーカーシステムが国内で開発されました。位置精度3 マイクロメートル対応が実証された優れものです。単波長LED 照明の影の長さとCMOSカメラを利用した低コストの造りになっていて産業界への展開に期待しています。位置決めを侮るなかれ。時の審判は細部に宿っていますぞ!

【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】

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