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ヨーグルトでお馴染みの“ダノン”の経営者が解任された。競合他社と比べ経営指標に劣ることが決め手のようだが、真相はわからない。フランスの食品会社である同社はESG経営で世界最高評価を得ており、それを主導した人物が解任された経営者だったとのこと。業績が極端に悪化したわけでもなく、また経営者としての資質に疑義があったのでもないようだ。然るに、ESG先進地域である欧州でのこの解任劇は、欲望ありきの資本主義は変えようがないことを意味しているのか。
報道は別の視点にも触れている。「企業のいう長期とは10年程度で、30年計画を掲げるところもある。一方で年金基金から運用を任される資産運用会社の成績は四半期から1年ごとの評価。投資先企業でいかにESGが好成績でも、利益が伴わなければ運用担当を外されかねない(日経新聞社の記事を筆者がリライト)」。残念ながら、その通りだ。

 

強者から変わろう

考えや方向性の不一致は諸問題を引き起こし、無用な軋轢すら生む。上述の資産運用会社のケースでは、主体が多数存在するために完全一致を見るのは不可能だろう。しかし源流まで辿れば解は出そうだ。企業の長期経営を阻害するのが資産運用会社の短期利益の追求であれば、それを指示する資金の出し手が問題の起点である。つまり改善を弱者(対象企業など)に求めるのではなく、常に強者の責任を先に疑う必要があるのではないだろうか。

 

小さな世界も一緒

例えば、社員の無能さを嘆く経営者がいるなら、それは経営者のリーダーシップの欠如でしかない。経営者が社員を諭すとばかり彼らの提案を論破してしまっては、二度目の提案は期待できないだろう。もしくは、受け入れてもらえそうな、喜ばれそうなつまらない提案ばかり来ることとなる。動けと命じて社員が動かないのは、経営者が背中を見せないからだ。だからといって表面的に社員に優しい経営者を気取り、社員を手懐けようとするもの滑稽だ。社員満足度は本業の中で模索すべきだし、表面的な満足度の向上は企業理念を揺るがすものにもなりかねない。
全てが強者次第。実際、社員の先には家族があり、家族内においては親が強者であり、その社員自身が親かもしれない。他方で経営者の上にも顧客や地域、株主などのステークホルダーという強者が存在する。すなわち強弱の関係はすべて繋がっており、紐解いていくと最終的な強者とは消費者や個人投資家などの一般生活者となり、社会であり未来となる。

目的を定めて同時につつくためには、強者ほど覚悟と責任意識を持つ必要がある。背中(上役/更なる権利者)に対する責任だけではなく、面前(部下/対象となる相手)に対する責任も大きい。上述の通り、どの道すべてが繋がっているのだから。
筆者においては、社会に向ける普段の険しい顔とは別に、まずは何事も受け入れる笑顔を学ぼうと思う。ダノンの報道に触れ自戒の意に至る。

【2021.5.27記】代表取締役社長 澤上 龍

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