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日本は火山国です。その火山灰や砂ぼこりが100年に1㎝のペースでゆっくり堆積したのが「黒ボク土」です。「黒ボク土」は日本の国土の約3割、畑の約5割を占めます。そして意外なことに、日本のほかにニュージーランド、インドネシアのジャワ島、タンザニアのキリマンジャロなど、世界陸地面積の0.8%の地域にしか分布しない珍しい土です。土壌の研究者によると、この黒ボク土の中の一部の粘土鉱物がやっかいものです。リン酸の吸着能力が非常に高いらしい。ところがリン酸は作物の栽培で果実の生育に必須の肥料。土のリン酸吸着力が高い。→作物に利用されにくい。→結果としてリン酸肥料の施肥量が増大。→作物に吸収されなかったリン酸が日本の土壌に蓄積。→もったいない! ヒトは人口増加に対応すべく、1800年代から肥料生産のためにリン鉱石を急激に採掘してきました。現在は世界的にその枯渇が深刻です。では日本は? そうだ、黒ボク土があった!黒ボクの中の粘土ががっちり吸着している学説は有力です。粘土学者たちが、リン酸を容易に脱吸着できる材料を開発中。リン酸を回収し無駄のないように脱吸着して次世代のために備蓄する粘土素材。見方によって土もバラ色です。

【取締役最高投資責任者 黒島 光昭】

 

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