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Netflixで話題の『地獄に落ちるわよ』を見終えた。ご覧になった方も、多いのではなかろうか。ある人物の激動の人生を描いた物語だ。胸に残ったのは、筋書きだけではない。その奥に流れる、昭和の力強さだった。戦後の焼け野原から、この国は立ち上がった。人々は働き、稼ぎ、街を建て直していった。

その原動力は、何だったのだろうか。それは技術でも資源でもない。「もっとよい明日にしたい」という、一人ひとりの願いだったにちがいない。願いが意思になり、意思が行動を生み、行動がこの国を建て直した。未来は、いつだって誰かの一念からつくられてきた。歴史が示す、ただの事実だ。

ここで、ひとつの逆説を記しておきたい。

「夢しか叶わない」

叶うのは、思い描いたことだけだ。当たり前だと思うかもしれない。だが人は、願う前にあきらめていることが多い。描かなかった未来は、決してやってこない。夢がなければ、叶うものは何ひとつない。

人は、ただ生きるのではない。よりよく生きようとする生き物だ。その「よりよく」を思い描く力を、「夢」と呼ぶ。夢を失うとき、人は生きながらにして、未来を手放す。生きるためには、夢が要る。

夢を見るとは、未来を待つことではない。未来を、引き受けることだ。幸運なら、待てばいい。だが幸運は、二度と同じ顔では訪れず、誰かに譲ることもできない。叶えたい明日があるのなら、自分で描くしかないのだ。

夢を持たない者の未来は、誰が変えるのか。答えは、いつも同じだ。誰かの夢が、それを動かす。医療も、選挙権も、休日という制度も、かつて誰かが願った夢の延長線上にある。自分の夢を持たなければ、人は誰かの夢の中を生きることになる。

それでも、案ずることはない。夢は、誰でも、いつからでも抱ける。年齢も、肩書きも、才能もいらない。要るのは、それを言葉にする、ただ一歩の勇気だけだ。

さわかみ投信が「#かなえたい夢」プロジェクトを始めて、三年がたつ。集まった夢は、三年連続で一万を超えた。第三回は、過去最多を更新している。日本の未来は暗い、という声がある。だが、少なくともこのプロジェクトを通じては、未来を描こうとする人は、年々増えている。

そしてこのたび、ファンド仲間の皆さまの投票を経て、四名が「夢応援者」として選ばれた。その歩みは、本紙の別のページに譲りたい。

長期投資とは、人への投資である。

投資と聞けば、多くの人は株価を思い浮かべる。だが株価の先には企業があり、その先には、いつも人がいる。お金は、人から人へとめぐって初めて、価値になる。投じられた“資”は、誰かの夢を支え、その夢が新しい仕事を生み、また次の夢を呼ぶ。社会とは、その循環の別名だ。利益は、めぐりのなかで実る果実にすぎない。

誰かの夢を信じ、選び、託す。それは感情ではない。信じると決めること。それ自体が、ひとつの意思だ。その夢が絶えぬよう見守り、次の手へとつないでいく。よりよい未来を、ともにつくるためだ。これもまた、長期投資なのだ。

あなたの胸にも、まだ言葉にしていない夢が、眠ってはいないだろうか。

描きはじめるのは、今日からでもよい。

夢しか、叶わないのだから。

 

【取締役副社長 熊谷 幹樹】

 


 

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