私はこれまで国内外の研究機関、民間企業で働いてきました。色々な調査で各国を訪れましたが、最も強烈に印象に残っているのは、2010年にさわかみ投信の仲間で行ったブラジルの調査です。現在社長の澤上やアナリストの斉藤らとともに5名で出かけたのですが、色んな角度から「目には見えない価値」を体感しました。
現地で感じた「目に見えない価値」で強烈に記憶しているのは、必死に、愚直に目の前の業務に集中する仕事人たちです。ある乳酸飲料企業の現地法人リーダーは30年以上も現地に張り付き、地域の逞しいおばちゃんたちと強固な信頼関係を作り上げ、マネのできない販売網を構築していました。治安の非常に悪い地域でも給食や食育活動を通じて、未来の地元ファンが確実に増えていました。
ある現地メーカー（テント用特殊シート）の若手経営リーダーは新事業を推進中で、シートを活用して家畜糞尿を燃料ガス化することを事業化していました。私の前職と重なる内容で話が弾みました。彼の必死さに感銘し、ついつい時間を忘れコスト最適な設計について意見交換しました。彼は理系出身ではないのですが、我々のノートは数字で真っ黒でした。
そして現在、彼らの事業は時流に乗り絶好調。人の情熱や志の威力を痛感します。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】
