Sawakami Asset Management Inc.

CONTENTS
# タグリスト

あなたが長期投資する目的は何ですか

2026年6月25日に史上最高値である72,366円を記録した日経平均株価はこの1年で約82%も上昇しました。相場がこれほど急騰する中、いつの間にか長期投資の目的がお金を増やすことになってしまっている方をセミナーでよく見かけるようになりました。本来の目的があったはずなのに。相場次第で変動するお金に気を囚われず、本来の目的を達成するには、お金とは違うものさしが必要だと言えるのではないでしょうか。

 

お金だけでは解決できない未来

老後、子育て、将来の備えはそれぞれの不安からくると思いますが、お金というものさしで行う資産運用は、その将来の不安を解消してくれるものでしょうか。例えば老後資金として、数年前に目標とされた2,000万円が本当にその問題を解決してくれるかを考えてみます。リクルートワークス研究所の予測によると、日本国内において2040年までに約1,100万人の労働人口が不足するというデータがあります。具体的には現在の近畿地方の労働人口がいなくなるイメージです。この未来には介護サービスの分野は約58万人、保険医療専門職の分野では医療従事者が約81.6万人供給不足になるようです。つまり、2,000万円を準備していても、労働力不足の未来では介護や医療のサービスを満足にうけることができない可能性があるのです。ましてや資本主義の世の中においては、供給不足のサービスを受けるために他人よりも多く払っても良いという人の存在により、価格が値上がりすることも考えられます。つまり、個人の視点で考えるとただお金を増やせばよいということになりそうですが、社会全体の視点を加えると根本的な解決にはならないことがわかります。

 

お金以外の資産を増やす

このように考えると、長期投資は不安解消のためではなくウェルビーイング(自分らしく、健康で充実した人生)のための手段であることがハッキリします。そうであれば、一番大切なのは消費期限付きの資産である「時間というものさし」を基準に生きることではないでしょうか。お金に囚われると霞んでしまいますが、家族や友達との思い出も皆さまの資産です。習い事などのコミュニティとの繋がりも資産となります。前者は共に過ごすことに時間を配分することで思い出は積み上げられます。後者は趣味という時間を大切にすることで、コミュニティとのつながりが孤独を防ぎ、精神的な安心が積み上げられます。お金を中心にモノゴトを考えてしまうと本来の目的のために必要な資産を見逃してしまいます。大切なことはお金の備えと同時にお金以外の資産の備えをすることではないでしょうか。

 

価値判断のものさしを持つ

本来の目的のためにお金以外の資産を持つことが大切であるならばあとはご自身の価値判断のものさしを持つだけです。人は目先の損得などの数字によって判断を誤る傾向があります。昨日1,000円だったものが、今日は700円だったので買うと得をしたと感じ、明日500円になったら損をしたと感じますが、本質はあなたにとって必要なものであるかどうかです。株式市場が急騰し、本来の目的を忘れお金を中心に考えてしまいそうな今だからこそ、ご自身の価値判断のものさしを持って判断し、ウェルビーイングを達成していただければと思います。

 

【運用調査部 トレーダー 前野 宏明】

関連記事
RELATED

「コラム羅針盤」の他の記事
OTHER