
一日は、ニュースから始まる。そんな人も、多いのではないか。
物価が上がった。株が下がった。円が、また安くなった。スマホを開けば、世界の変化が次々と流れてくる。私たちは毎日、その波にさらされている。
だが、考えてみてほしい。その一つひとつに、あなたの暮らしは、どれだけ左右されただろう。世の中は、いつだって騒がしい。明日どうなるかは、プロでさえ当てられない。それでも人は、当てようとする。当たらないから、投資そのものを疑い、読めない未来に心をすり減らしていく。
多くの人が、この国の先行きに不安を抱く。その不安につけ込むように、お金の詐欺も増えていく。皮肉な話である。
だからこそ、私は伝えたい。お金の育て方には、もっと本質的な方法があるのだ、と。
毎月、決まった日に、決まった額で、投資信託を買いつづける。世に言う、積立投資だ。相場は見なくていい。上がり下がりに、一喜一憂しなくていい。一度そう決めたら、あとは忘れてしまってかまわない。
忘れていい、というのは、いいかげんな話ではない。
むしろ逆だ。毎日値動きを気にして売り買いする人ほど、たいてい損をする。恐怖で安く手放し、欲で高くつかむ。人の心は、そうできているからだ。だから、心を挟まない。ただ淡々と積む。この地味な繰り返しこそが、財産をつくる正攻法なのだ。
しかも、面白い逆説がある。値が下がった月ほど、がっかりしなくていい。同じ額で、いつもより多く買えているからだ。荒れた相場は、コツコツ積む人には追い風になる。変化は、敵ではない。味方だ。
では、どこに積んでも同じなのだろうか。
もちろん、そうではない。相場が荒れた途端に投げ売りする運用では、あなたのコツコツも報われない。肝心なのは、いくつもの暴落をくぐり抜けて、なお同じ哲学を貫けたかどうかだ。ブレない運用の上でこそ、リズムは実を結ぶ。
手前味噌で恐縮だが、さわかみファンドは、ITバブルもリーマンもコロナも、その姿勢で越えてきた。運用27年、毎月コツコツ積み立ててきた人の複利年率は、7.6パーセントだ。続けていれば、いつかあなたが毎月積み立てる額より、積み上がったお金が生み出す額のほうが大きくなる。お金が、あなたを追い越して働きはじめるのだ。あとは放っておくほど、雪だるまは大きくなる。先は約束できない。それでも、続けた人は報われてきた。
むずかしい知識も、特別な才能も、いらない。始めて、あとは仕組みに任せるだけだ。これほど万人に開かれた方法はない。
踏み出す一歩は、小さい。翌月の一歩も、また小さい。どれも覚えてなどいられない。忘れていい。だが、いつか振り返ってみるといい。忘れたはずの一歩が、いつのまにか、あなたの足跡になっている。
8月24日、27年目の運用が締まり、28年目が始まった。この足跡の道を、もっと多くの人と歩きたい。止まって未来を憂うより、動いて、未来に希望をもつ。私たちは、その一歩に寄り添う存在でありたいと、切に願っている。
いちばんよい日を待つ必要はない。そんな日は、どうせ来ない。何を待つことが、あるだろう。一歩を踏みしめる日は、いつだって今だ。
【取締役副社長 熊谷 幹樹】

歴史に学び、未来を見る。
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