
年金に関する仕事柄、どうしても平均寿命や健康寿命といった、「終わり」に関する話が多い。「終わり」と言えば、私の好きな博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)がかねてより、大盛りが注文できなくなる、「大盛り寿命:42歳3ヵ月」や身体にぴったりフィットした、パンツやスカートを履きたくなくなる「ジャストサイズ寿命:44歳2ヵ月」といった、思わず「それわかる!」と言いたくなる「生活寿命」の調査を実施してくれており、楽しみにしている。
上述の生活総研が今年は初めて「生活元年」調査を実施している。新製品よりもロングセラーや定番を選びたくなる「ロングセラー元年:44歳10ヵ月」や、今のヒット曲より懐メロばかり聞きたくなる「懐メロ元年:46歳2ヵ月」等、調査の角度が非常に面白くセンスが良い。流石、日本を代表する大手広告代理店のシンクタンクである。興味深く目を通していると、その調査の中にある、老後を見据えて投資を始める「投資元年:40歳4か月」に目が留まった。
老後というのは、言葉を選ばずに言うと、人生の終わり「終着点」に近づいていく状態である。にもかかわらず、終わりを見据えて、投資という行動を始める「出発点」が生まれているのである。しかも、そのタイミングが人生80年の折り返し地点で訪れているのが興味深い。
人生の終わりは、できれば目を背けたいが、避けられない事実でもある。だからこそ、その終わりをより良くするための「出発点」の一つが投資という認識が世の中にあるならば、その投資の中身にこだわり、想いを乗せて変えていけば、より「今」の人生は豊かになり、その結果、世の中はもっと面白くなるだろう。
「生涯の終着点を生涯の出発点と結びつけることができれば、最も幸せな人といわねばならない。」(ゲーテ)、ゲーテの時代に長期投資があったかは定かではないが、私には健康なうちに、老後のことを考えて長期投資を始める人を最も幸せな人と言ったのではないかと感じている。
【確定拠出年金部長 西島 国太郎】




