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教育資金はどのように準備したら良い?具体的な方法を解説

子どもの成長とともに必要になってくるのが「教育資金」です。

教育資金を用意するには、将来の収入と支出を計算し、計画的に準備をしていく必要があります。

以下にて、教育資金の準備方法についてご紹介します。

教育資金の準備方法

教育資金を準備する場合、預貯金のほか、投資、学資保険などによる方法が検討されるでしょう。

預貯金

預貯金を用いて教育資金を準備するのは最も一般的な方法です。

夫婦で教育資金を用意する場合は、お互いに毎月の積立額を決めて、目標金額まで預貯金を積み立てる方法が想定されるでしょう。

銀行で定期積立預金口座を開設し、毎月の積み立てを自動化することもできます。

教育資金用の定期積立預金口座を作り、そこに給与振込口座等から資金を振替えるように設定しておけば、教育資金の積み立てを自動化できます。

ただし、現在の日本は低金利が続いており、預貯金にはほとんど利息がつきません。リスクは低いものの、資金を増やすための方法としては向いていません。

投資

教育資金を準備する方法のひとつとして、投資も検討できるでしょう。投資には様々な種類がありますが、ここでは一部を簡単に紹介します。

株式投資

株式投資は、株価が低い時に購入して、高い時に売却できた場合、その差額が利益となります。

また、配当金というかたちで利益を得ることもできます。

株主総会での議決権も株主に与えられる権利の一つであり、株式を購入するということは投資先企業のオーナーの一人になること、と考えることもできます。

債券投資

債券投資は、利子の受取や購入価格と売却/償還時価格との差額によって収益を得ることができます。

一般的な債券は、予め定められた期日が到来すると予め定められた金額が投資家に支払われるため、発行体が支払い不能な状態に陥らない限りは安定的な収益の獲得が期待される商品です。

国債は発行体である国が利子や債務の返済を保証する債券であり、社債は発行企業がそれを保証する債券のことを指します。

債券は株式投資と比較してリスクが低い一方、利回りも低くなる傾向にあります。
一方で、債券でも仕組債やハイイールド債、新興国債券などは、先進国の国債や信用力の高い企業の社債と比較してハイリスク/ハイリターンな債券であると考えられています。

不動産投資

不動産投資は、購入した不動産から賃貸収入を得たり、売却することで価格差益を得ることもできます。

ただ、不動産の購入時や保有中にかかる手数料や税金、そして銀行でローンを組む場合はその返済も必要になってくるため、表面的な利回り以外にも注意すべき観点が多くなります。

投資にはリスクが伴うため、自分に合った投資先を選び、十分にリスクを理解することが大切です。
また、投資で利益を得るためには一般的に時間がかかるため、長期的な視点を持つことも重要です。

教育資金は子どもが成長する過程で五月雨式に必要になってきますが、例えば多額になりがちな大学費用などは子どもの誕生時点から時間をかけて地道に準備することもできます。

資金使途が決まっていても、使用するまでに時間的な余裕がある場合は、投資で効率的に資金を増やすことも検討できるでしょう。

学資保険

教育資金を準備する方法のひとつに、学資保険があります。

学資保険は、子どもの教育資金を準備することを目的とした貯蓄型の保険のことです。

保険料を支払うことで子どもの進学時に祝い金を受け取ることができたり、満期が到来したら満期保険金を受け取ることもできる金融商品です。詳しくは後述します。

教育資金の準備に学資保険を使うメリット・デメリット

学資保険は多くの家庭で利用されています。

ここでは、教育資金を準備するために学資保険を使うメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。

教育資金の準備に学資保険を使うメリット

学資保険は預貯金や投資とは異なり、万が一の場合に備えた保障がセットになっているのが一般的です。

特約を付加することで、契約者が死亡したり、重度の障害を負ったりすると、後の保険料の払込が免除される場合があります。

万が一にも親が働けない状況になった場合でも、子どもの教育資金を用意することができる点は学資保険のメリットと言えるでしょう。

学資保険は生命保険の1つとして扱われるため、生命保険料控除を受けられることも大きなメリットです。

生命保険料控除は、1年間に支払った保険料に応じて税金計算上の所得金額から一定の金額を差し引き、所得税などの税負担を軽くすることができます。
生命保険料控除は会社員なら年末調整時に、自営業者は確定申告時に申請することができます。

教育資金の準備に学資保険を使うデメリット

一方で、教育資金の準備に学資保険を活用する際にはデメリットもあります。

まず、学資保険は途中解約すると元本割れしてしまうこともあるため注意が必要です。

学資保険は前述の通り、万が一の場合に備える保障機能を持ちあわせた商品であるため、原則として途中解約ありきではない商品設計になっています。

一般的に学資保険は払い込み保険料の額に応じて解約返戻金を受け取ることができますが、多くの場合、解約返戻金は支払った保険料よりも少なくなります。

契約者貸付制度を利用して、保険金の貸し付けを受けることもできますが、金利支払いが発生してしまう点に注意が必要です。

投資と学資保険の使い分け

メディアやSNSでは「学資保険を解約して投資で教育資金を準備しよう」というような意見も散見されます。
そのような意見が出るのは、投資と学資保険とでは期待されるリターンに差があることが一つの理由であると考えられます。

学資保険と投資信託のリターン

学資保険の返戻率は100%~110%弱程度の場合が多いようです。※1
なお、「返戻率=100%」という表現は、払い込み保険料と受け取り保険金がイコールであるということを指します。

一方で、投資信託に投資した場合、当社が運用/販売する「さわかみファンド」を例にあげると、2013年7月から2023年6月末までの10年間に毎月1万円ずつ積み立て投資した場合、累計の投資額は120万円、2023年6月末時点の評価額は約181万円と、投資元本に対して50%程度の利益が発生しました。※2・3

このように、学資保険の返戻率と投資信託から期待されるリターンを比較した結果、学資保険を解約して投資信託を購入することで、効率良く教育資金を準備しようと考える方もおられるようです。

しかし、教育資金を準備するという観点で、この考え方は正しいと言えるのでしょうか。

ここから、投資と学資保険の使い分けについて考えていきましょう。

1 2023年7月時点。返戻率は市場環境によって変動します
2 税金等考慮せず
3 将来の利益を保証するものではありません。

商品性の違いを認識しよう

前述の通り、学資保険の契約者が死亡したり重度の障害を負った場合、特約によって保険料支払いが免除されることがあります。保険料支払いが免除されても、お祝い金や満期保険金を受け取ることが出来ます。

一方で、投資信託をはじめとした投資商品には、学資保険のような保障はありません。

学資保険の返戻率より投資信託から期待されるリターンの方が高い傾向にありますが、保険としての保障機能を考慮せずして両者を比較することはできないでしょう。

教育資金を準備するうえで学資保険と投資信託どちらが良いのか。それは一概に断定することはできず、個々人のケース次第となってきます。

例えば、自分に万が一のことが起こったとしても、学資保険以外の加入済み生命保険や金融資産等で教育資金をカバーできそうなのであれば、学資保険は活用しないでも良いかもしれません。

あわせて、遺族年金や障害年金といった社会保障制度が盲点となっている場合があるため、それも含めて考える必要があるでしょう。

学資保険の途中解約は合理的ですか?

学資保険以外の加入済み生命保険や社会保障制度などを確認した結果、教育資金は学資保険ではなく投資で準備した方が合理的だ、という結論に至る人もいるでしょう。

その場合、加入している学資保険を途中解約するべきか迷われる方もいるのではないでしょうか。

前述の通り、学資保険は途中解約ありきの商品性ではないことから、途中解約をすると元本割れしてしまうのが一般的です。

学資保険よりも高いリターンが期待される投資商品に乗り換えることを否定はできませんが、学資保険は解約するのではなく「払い済み保険」にするというのも一つの選択肢だと考えられます。

学資保険を払い済み保険にすると、保険料払込期間の途中であってもそれ以降の払込を中止することができます。保険金は過去に払い込んだ保険料に見合う金額へと減額されてしまうものの、継続して保障を受けることもできます。

盲目的に学資保険を途中解約するのではなく、払い済み保険として保障を継続する手段もあるため、なにが最も合理的な選択かをしっかりと考えてみましょう。

教育資金を投資信託で準備する際の注意点

教育資金を投資信託で準備する場合には、いくつか注意点がありますので確認しておきましょう。

本来の目的を忘れない

投資信託で教育資金を準備する際は、本来の目的を忘れずにコツコツと時間をかけて投資することが重要です。

投資信託の運用成績が不振な時には、つい換金したくなってくることもあるでしょう。

しかし、そもそも投資信託は長期視点で利益の獲得を目指す金融商品であることから、目先の値動きや損益状況に振り回されず、本来の目的を忘れずにじっくりととりくむことが大切です。

リスクがあることを理解しておく

投資信託には、価格変動リスク、金利変動リスク、地政学リスクなど、多くのリスクがあります。

これらのリスクは資産や時間、地理的な分散によってある程度低減させることができますが、それでも思ったようなパフォーマンスが出なかったり、元本割れしたりすることがあります。

投資信託は預貯金とは異なり数年後の評価額を予想することが難しいため、最悪の場合は教育資金が必要なタイミングで評価損失が発生してしまう可能性もあります。

教育資金の準備にあたって、投資信託だけに頼るのではなく、預貯金にも余裕を持たせるなどバランスを持たせる必要があるでしょう。

短期間で利益を狙うような投資(投機)をしない

教育資金を準備するためには、短期間で大きな利益の獲得を狙うような投機は避けるべきでしょう。

投機で利益を得るには、日々の市況や価格変動を日夜チェックしなければならず、日常生活に影響を及ぼす恐れもあります。

短期間で大きな利益を獲得するためにFX・CFD取引・先物取引など、レバレッジを効かせた取引を活用する投資家もいます。

レバレッジ取引は投資元本の数倍の金額の取引をすることができるため、少ない投資元本でも大きな利益を得られる可能性があります。

もちろん、リスクとリターンは表裏一体であることから、レバレッジ取引は大きな損失も発生し得るハイリスクな投機であることは認識する必要があります。

子どもの教育資金を準備する目的であったとしても、投機に手を出すと資産を大きく減らしてしまう可能性があります。
教育資金は過度なリスクを取らず、投資するとしても堅実な投資手法で準備するのが賢明でしょう。

まとめ

加入済みの生命保険や金融資産の状況によって、最適と思われる教育資金の準備方法は個々人で変わってきます。

預貯金・学資保険・投資信託、それぞれのメリット・デメリットを認識しつつ、場合によっては使い分けながらコツコツと教育資金を準備していきましょう。

※個別の保険商品の設計や特約の有無等によって、本記事の記載内容とは異なる場合もありますのでご了承ください。

2023年7月1日時点の情報をもとに作成

 

さわかみ投信代表の視点

金融商品は、あれもこれもと特性をつけることができる一方で、どれも中途半端になることもある。
商品提供する金融業者も稼ぐ必要があり、消費者が一方的に得になることなどないのだ。
金融商品は目的に合わせたシンプルなものを選ぶのが一番。理想は目的すらを「お金の問題解決」として、特性のない資産運用に徹することだと思う。