投資の中でも王道とも言うべき不動産投資ですが、実際に仕組みやリスクについて知っている人は多くありません。
特に、不動産投資のリスクを心配し、「不動産投資はやめとけ」とする声もあります。
そこで本記事では、初心者が理解すべき不動産投資の仕組みやリスク、必要な費用について解説します。
不動産投資とは
不動産投資とは、不動産を購入し、賃貸や売却などで収益を得る投資手法をいいます。他の投資手法同様、リスクとリターンをよく考え、投資計画を策定することが重要です。
不動産投資の目的
不動産投資の目的は、投資用に不動産を購入し、賃貸や売却により収益を得ることです。そのため、自分にとって気に入った部屋や物件を選ぶのではなく、将来値上がりする、あるいは空室が発生しなそうな物件を選ぶのがポイントです。
不動産投資とその他の投資の違い
不動産市場は株式市場や為替市場と比較して値動きが緩やかであるため、安定した収益が期待できると考えられます。また、不動産には土地と建物の2つの資産価値があり、建物の価値が減っても土地の価値が残るというメリットもあります。ただし、物件管理や修繕などのコストがかかるため、適切な投資計画やリスク管理が必要です。
不動産投資で知っておきたい知識
次に、不動産投資で絶対に知っておくべき「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つの利益について確認します。
インカムゲインの仕組み
インカムゲインとは、資産を保有していることで得ることができる利益のことです。不動産投資の場合、家賃収入がインカムゲインに該当します。インカムゲインは短期的に大きな利益は見込めませんが、短期的な市場の値動きに左右されないため、安定した利益を得ることが期待できると考えられます。
キャピタルゲインの仕組み
一方で、キャピタルゲインとは、資産の売却により得られる利益のことです。不動産投資の場合、物件の売却などがキャピタルゲインとなります。キャピタルゲインは短期的に大きな利益を得られるチャンスがありますが、市場の暴落により大きな損失を被るリスクも潜んでいます。
不動産投資のメリット
次に、不動産投資をするメリットについて考えてみましょう。
不動産投資は安定した収入が期待できるほか、インフレ対策や節税にも効果を発揮すると考えられます。
安定した収入が得られる
不動産投資で家賃収入を得る場合、所有している数十年に渡って収入を得られるメリットがあります。
不動産投資は「不労収入」とされるとおり、物件を所有している間も投資家は大きな労力をかける必要がありません。そのため、不動産投資を副業とすることで、収入先を増やすことが可能です。
インフレに強い
金融資産よりも現物資産の方がインフレに強いという特徴があります。
例えば、預金や国債はインフレによって資産価値が目減りしてしまいます。一方、不動産投資はインフレ時にも価値が下がりにくく、家賃収入も安定的に得られるため、インフレ対策になると考えられます。
節税ができる
不動産投資で所得税と住民税を節税できるケースがあります。
不動産投資では、法律に基づいてあらかじめ規定された年数で、費用を一定割合に分割して費用計上できる、所謂「減価償却」が存在します。不動産所得は赤字になることがありますが、この赤字は本業の所得と損益通算できるため、所得税と住民税が減額し、税負担を減らすことができます。
老後に年金の役割を担ってくれる
一時期「老後2,000万円問題」が世間を騒がせましたが、老後の年金支給額は今後ますます目減りすることが予測されます。かといって、老後も働くのは体力的にも限界があります。
そこで、老後の年金に加えた第の収入源として、不動産投資が注目されています。不動産投資は「不労所得」の側面があり、大きな労力をかけずに長期的な収入を得ることができます。40代、50代のうちに不動産投資に乗り出せば、老後も家賃収入を得続けることができ、引退後も豊かに暮らすことができると考えられます。
相続税対策になる
不動産投資は、相続税の節税効果もあります。
これは、不動産は相続時に時価ではなく、時価よりも低い相続税評価額で評価される特徴があるためです。例えば、現金3,000万を持ったままにしておくと、相続税評価額は3,000万円のままですが、3,000万円の現金で不動産を購入すると、相続時に3,000万円よりも低い金額で評価されるため、節税になるといった仕組みです。また、購入したアパートやマンションなどを収益用不動産として人に貸し出している場合、賃貸部分の割合に応じて、不動産の相続税評価額がさらに控除されるため、より相続時の節税効果が高くなります。
不動産投資はやめとけ?5つのリスクとは
このように、メリットが多い不動産投資ですが、一方で「不動産投資はやめとけ」と言われることがあります。
そこで、不動産投資に関連する5つのリスクについて考えてみましょう。
元手が必要
不動産投資は他の投資に比べてより多くの元手が必要です。
一般的に、不動産投資の元手の目安は物件価格の約20%~30%程度といわれているため、物件価格が3,000万円なら600万~900万円は用意しなければなりません。また、これに加えて初期費用も考慮しなければならないため、金融商品への投資に比べると元手が用意できない人は不利になります。
災害リスクがある
不動産投資における大きなリスクとなるのが、災害です。
特に地震や津波、浸水被害などは地価や不動産価格に直接影響を与えるため、リスクは覚悟しておく必要があります。
例えば、東京23区では土地・物件ともに高騰している地域が多数見受けられますが、東京都の江東5区と呼ばれるエリアでは有事の際に高い確率で浸水被害が発生することが予想されています。土地の低いエリアや埋立地などでは、特に災害リスクに注意しましょう。
流動性が低い
ある資産を現金に換えられる度合いのことを「流動性」といいます。
例えば、株はその場で利確をすればすぐに現金に換えることができるため、流動性の高い資産と表現することができます。一方で、不動産は一度土地や物件を購入すると、すぐに現金に換えることはできないため、流動性が低い資産です。すぐに現金に換えることができないため、生活費を不動産投資に費やしてしまうと大きな生活リスクが伴います。このことから、不動産投資は余剰資金で行うのが鉄則となっています。
空室リスクがある
不動産投資に常時つきまとうリスクが、空室リスクです。
不動産投資のインカムゲインは家賃収入に頼っているため、空室が多いほどインカムゲインが減り、投資効果が薄れてしまいます。
空室リスクを避けるためには、適切な賃料の設定や築年数の経過した部屋のリフォームなどが必要です。
今後金利が上昇する可能性がある
最近懸念されるようになった不動産投資のリスクが、金利上昇リスクです。
今後日本国内でも金利が上昇することが予想されています。金利が上昇すれば不動産投資ローンの返済額が増加してしまうため、当初の予定よりも投資効率が低下する恐れがあるのです。
不動産投資に必要な費用
不動産投資をはじめるには、初期費用や仲介手数料など、必要な費用をおさえておく必要があります。
初期費用は物件価格の8%〜10%
不動産投資の物件価格は1,000万円を超えるものが大半であり、そのうち初期費用は80万~100万円程度といわれています。
このことから、不動産投資の初期費用は、物件価格の8%〜10%とされています。
各種手数料・保証に注意
不動産投資における初期費用には、主に以下の内容が含まれます。
- 不動産仲介手数料
- 不動産投資ローンの事務手数料
- 不動産投資ローンの保証料
- 登録免許税
- 印紙代
- 固定資産税・都市計画税
- 司法書士への報酬
- 火災保険料
これらの初期費用を合算すると、おおよそ80万円〜100万円程度になるでしょう。
不動産投資をはじめる前にやるべきこと
最後に、不動産投資をはじめる前に準備しておきたいことを3つご紹介します。
元手を貯める
不動産投資は不動産投資ローンを利用することで、自身の資金力よりもはるかに高額な物件を購入することができます。一方で、レバレッジをかければかけるほど、返済の際にリスクが生じます。そのため、元手をできるだけ多く用意できるのであれば、それに越したことはありません。無理をしてローンを組むのではなく、元手がある程度貯まってから不動産投資に踏み切るのもひとつの戦略です。
不動産を見る目を養う
不動産投資は、何も知識がない状態ではじめるべきではありません。今回ご紹介したように、不動産投資にはメリットも大きい分、リスクやデメリットもいくつか存在するからです。また、不動産投資用の物件にもファミリータイプ、ワンルームマンションなどさまざまなものがあり、自分の投資スタイルに向いているかどうかはよく考える必要があります。
不動産投資をはじめるなら、まずはネットでたくさんの物件情報を比較し、気になった物件を現地で視察することをおすすめします。現地に赴くことで、周囲の治安や交通の利便性など、ネットだけではわからない情報も得ることができ、次第に不動産を見る目が養われるはずです。
良い管理会社を探す
不動産投資をすると、実際に不動産を管理するのは投資家ではなく、不動産管理会社です。そのため、良い不動産管理会社とパートナー関係を結ぶことが、投資の成功のカギとなります。良い不動産管理会社を選ぶには、複数の管理会社を比較検討することや、その地域に詳しい会社かどうかを確認することを徹底してください。また、こちらの疑問や日程調整に対して、スピーディーに応答してくれるかも、長期の付き合いを考える際に重要なポイントです。
まとめ
ここまで、不動産投資のメリットやリスク、投資をはじめる際に必要な費用について詳しく解説してきました。
不動産投資は投資が長期間に渡ることが多く、投資額も大きいため、リスクについてネガティブな言及が多いのも事実です。
一方で、今回紹介した5つのリスクをあらかじめ考慮して運用できれば、大きな失敗に見舞われることは少なくなります。
不動産投資はあくまで余剰資金で行うという鉄則を守り、適切にリスクと向き合うことが大切です。
※当社は金融商品取引業者であり、不動産販売業者ではございません。
※当社の取り扱う投資信託(さわかみファンド)は、つみたてNISAの対象商品ではございませんが、2024年1月1日以降、新NISA(成長投資枠)の対象商品となる予定です。
2023年4月1日時点の情報をもとに作成
不動産投資はその他の投資と比べ安全性があり、資金があれば一度は試してみたい投資手法。
しかしその他の投資よりも先を読む力が必要なため、あまり気軽に出来るものではないんだな。
巷でいわれる「簡単に儲かる」は嘘だな。