セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
運用について質問です。①なぜ現金比率を20%としたのですか?②ニデックはどうするのですか?
- #投資運用
- #ファンド売買
- #商品性格
回答者による回答
高めの現金比率は株式相場の大幅下落時に良い企業をしっかり買うためです。予め現金を戦略的に確保することは大きな意味があります。ただしそれは「売買をしない」ということではありません。割高と考えられる株式を利益確定し、割安だと判断される株式を買っております。
日々のお電話でも「相場が下がった時こそ買いだよね」というお声もよくいただきます。
一般的に相場が下がると不安から解約が増えやすいですが、さわかみファンドは下落時こそお買付けや積立額が増える傾向があります。それは長期投資の哲学を伝え続けてきた結果だと思います。
直近では現金比率は必ずしも20%ではない状況ですが、何か変わったのですか?
運用の解像度が上がったというイメージです。現金を持つ意味がなくなったわけでもなく、とは言えポートフォリオがガラリと変わったわけでもありません。
変わったのは現金比率という数字の見方ですね。暴落時に買いに行くための規律だったものを、現在は比率ありきではなく「どの企業をどの水準で買うのか」という判断がより重視されたかたちです。
企業価値に対して株価が十分に割安だと判断できるなら、20%という数字に縛られずに投資をする。買いたい水準の株式がなければ無理して買わず、結果として現金比率は高いままとなる。つまり現金比率は、企業を見て売買をした結果に現れるというスタンスになりました。
数字だけ見ると「現金が多い・少ない」という話になりがちですが、マーケットに付かず離れずのリズムは不変ということですね。次にニデックについて、さわかみファンドで長く投資をしてきたからこそ気になるファンド仲間の方もいらっしゃいます。不祥事報道の結果をどう見ているのかと。
大事なテーマですね。大切なファンド仲間の資金を投じる先として、企業のガバナンスやコンプライアンスに関わる問題は見過ごすことができません。報道が出れば不安になるのは自然だと思います。
運用の現場は丁寧に調査をし、長期保有を前提に企業と向き合っています。だからこそ問題が起きてもすぐに白黒判断するのではなく、「何が起きたか」「企業価値にどう影響するか」「事業の競争力は失われていないか」「企業はどう問題と向き合うか」などを見ていきます。
表面的なことだけではなく、企業の姿勢も見るのですね。
そうです。モーター技術を中心とした競争力や財務基盤が根底から崩れたのかどうかは重要ですが、それだけではありません。
昨年の運用報告会はまさにその姿勢を見る場でもありました。報道が出た直後という厳しいタイミングで岸田社長が自ら登壇され、質疑応答にも対応されました。私はイベント責任者として会場にいましたが、逃げずに説明しようとする姿勢はとても印象に残っています。
会場でもかなり率直な質問が出ていましたよね。それに対して一つひとつご自身の言葉で答えられていたことは私も覚えています。きれいな説明だけではなく、企業を立て直していこうとする覚悟のようなものを感じました。
不祥事が出た企業については「持っているのか、売ったのか」という話になりがちです。しかし保有しているから問題なしと見ているわけでも、売却したから見限ったというわけでもありません。長期投資だからこそ、厳しい局面で企業の本質を見極める必要があります。
ニデックについても長く保有してきたから特別扱いするものではありません。一方で表面的な報道だけで企業を見捨てることもしません。事業の強さ、経営の意志、信頼回復への取り組み。それらを重ねて見ながら持ち続けるのか、持ち高を調整するのかを判断していきます。
現金比率を含むアセットアロケーションは長期運用の最上位概念です。故に最高投資責任者(CIO)が決定します。創業以来、変わらずそうしてきました。それを昨今、「現場からの提案を吸い上げて投資政策委員会で承認する」にプロセスを変更しました。もちろん議長はCIOで結果として何も変わりませんが、それにより上位判断と現場運営が近づいたと言えます。私の課題感は、大局観を持つCIOと日常を丁寧にフォローする現場との意識統合です。そのため創業者を含むメンバーにて月一度の運用戦略会議(相場動向)を開催するなど、現在、体制の構築を図っています。なお、昨今の現場感を伝えるならば、AIなどが牽引する強い相場の裏で正当に評価されていない企業が散見されます。そういった企業群とAI企業群の株価乖離は著しく“K字の下”は十分に買えるという判断で動いています。ニデックのみならず不祥事を起こした企業について総じて言えるのは、「改めて今日以降、長期投資したいかどうか」です。その意思が運用の現場にあるなら、世間的な「現在の不納得」でも自信を持って見守る所存です。