セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
一定の価格レンジ内で推移し、結局10年で見るとそこまで株価の面で成長していない企業は、さわかみさんにとって応援すべき企業に当てはまらないのですか?
- #投資運用
- #商品性格
回答者による回答
間瀬さん、まずは投資リターンの観点からどうですか。
厳しいと思います。一般にアクティブファンドは市場平均を超える収益の獲得が期待される以上、株価が値上がりしない企業への投資は運用効率を低めます。高配当株式であれば好成績を記録することもありますが、株価は横ばいで配当も見劣りする場合、受益者から信託報酬をいただいている以上、「その企業へ投資し続けること」への説明責任が問われると思います。
一方で、キョさんは投資にはリターン以外の価値もあるとお考えのようですね。
まず、横ばいの理由を分解すべきです。業績が停滞しているのか、業績は伸びているのに市場評価が厳しいのかで意味は全く違います。後者であれば、企業価値の高まりが株価に十分反映されていないとも言えます。「株価が10年間上がっていない」という結果だけではなく、「10年間で企業がどう変わったのか」を見る必要があります。利益やキャッシュフロー、競争力が高まっているのに市場から評価されていないのであれば、長期投資家として企業価値上昇に積極的にエンゲージすべきでしょう。
評価されていない優良企業への投資というのは、まさにバリュー投資の王道であり、アクティブファンドの腕の見せ所ですよね。ただ、一歩間違えるとバリュートラップ(割安な株式がいつまでも割安なまま放置される状態)に陥っている可能性も疑わなければなりません。10年待っても割安が解消されないならば、その企業を保有し続ける根拠を真摯にみつめ直す。応援投資を続けるのにも合理的な理由がなければ、ファンド仲間に報いることはできないでしょう。
なるほど。論点は「企業の中身」と「投資家との関係性」の二軸になりそうですね。
横ばい株式の継続保有には、①企業に持続的な成長・変化の余地があること、②経営陣が株主との対話に前向きであること、③運用会社が対話を通じて企業価値の向上に関与できること、の3つが重要だと思います。単に「応援したいから持つ」のではありません。そして企業価値の向上ストーリーを描くことはファンド仲間への説明責任にも繋がります。
私も条件付きなら賛成です。特に③が重要だと思います。運用会社が単なる株主ではなく、企業の変革を後押しする触媒になれるかどうかではないでしょうか。さわかみファンドの保有が企業との対話を生み、それが経営改善のきっかけになり、更には将来の株価再評価につながる道筋が見えるなら、横ばいの今を耐える合理性が生まれます。
つまり横ばい株式の保有が是か非かではなく、「企業・投資家・運用会社」の三者の関係性次第、ということですね。
企業にとって長期的な視点を持つ株主との対話は経営を見つめ直すきっかけになる。ファンド仲間にとっては短期的な株価だけではなく、企業価値が長期的に高まる過程に参加できる。そしてさわかみファンドは、その両者を繋ぎながら企業価値の向上を後押しする。三者がそれぞれに意味を持てるのであれば、株価が横ばいの期間にも投資する価値はあると思います。
同意します。私たちには、長期投資の理念に共感するファンド仲間に支えられた5,000億円規模の資産と、企業と長く向き合ってきたという蓄積があります。この強みを今後も生かし、継続的な対話を通じて企業に働きかけ、合理的な根拠をもとに投資判断を下すこと。これこそが機関投資家としての存在価値を高めファンド仲間の資産形成に貢献するための責務だと考えます。
10年横ばいの企業であっても、①企業に変革への意志があり、②ファンド仲間がその長期的価値を理解・納得しており、③運用会社が対話を通じて価値創造に関与できる—この「企業・ファンド仲間・さわかみファンド」のWin-Win-Win関係があれば投資する価値がある、と整理したいと思います。三者の関係性の質が投資判断の核心になることがさわかみファンドの本質ですね。
投資する全ての企業の業績が好調で、しっかりと株価に反映されるのが理想であることは間違いありません。しかし中には成長に時間がかかる事業、改革の結果を待つ必要のある企業も存在します。さすがに10年も結果が出ないのであれば投資継続の再検討はすべきでしょうが、それでもなお成長期待を抱ける場合、あるいは社会変革を起こすほどの材料が見える場合は、誰かが応援すべきとなるでしょう。そうでないと社会成長は止まってしまいます。なお、ポートフォリオには座席数が決まっていません。故にポートフォリオ戦略、つまり組入比率などでリスクを管理(分散)しつつ、応援すべきを応援する。それもまた長期投資家の社会的役割です。